カスタマーハラスメント、通称カスハラへの対策が、社会的に広がってきた。
理不尽なクレーム、長時間の電話、人格を否定するような言葉——働く人を守るためのカスハラ対策が、各企業で進められている。これは喜ばしい変化だ。
吃音持ちとして、この流れの中で、改めて考えることがある。電話対応という業務が、いかに過酷なものだったかということだ。
電話対応という、吃音持ちにとっての地獄
電話対応のバイトをしていた時期がある。着信音が鳴るたびに、心臓が跳ね上がった。
普通の対応でも怖いのに、相手が怒っている場合はさらに怖い。早く答えなければというプレッシャーの中で、吃音が出て、相手をさらに怒らせてしまうこともあった。理不尽な対応をされても、声が出ずに反論できないこともあった。
カスハラの存在は、吃音持ちにとって、ただでさえ怖い電話対応を、さらに過酷なものにしていた。
カスハラ対策が吃音持ちを守る側面もある
カスハラ対策が進むことで、企業が電話対応のルールを明確にするようになった。
「理不尽な要求には対応しない」「一定時間で電話を切る権利がある」——そういうルールが整備されることは、吃音持ちにとっても安心材料になる。
吃音が出たことに対して理不尽に怒鳴られる、というシチュエーション自体が、カスハラとして認識されるようになれば、吃音持ちが電話対応で受けるストレスは確実に減るはずだ。
「吃音への配慮がない対応」もハラスメントの一種
カスハラの議論が進む中で、もう一歩進んだ視点を持ちたいと思っている。
吃音があることを理解せず、「早く話せ」「ちゃんと喋れ」と急かす対応は、ある意味でハラスメントに近いものだと思う。
カスハラ対策の議論が広がる中で、吃音や言語障害を持つ従業員への配慮も、同じ文脈で議論されるべきだと感じている。
電話業務における吃音への合理的配慮
カスハラ対策が進む流れの中で、電話業務における吃音への配慮も進んでほしいと願っている。
例えば、電話対応の前に十分な準備時間を与える。吃音がある従業員には、チャット対応をメインにする選択肢を与える。電話で詰まったときに、上司や同僚がサポートできる体制を作る。
そういった配慮が、カスハラ対策と同じレベルで整備されることが理想だと思っている。
声を出す仕事の安全性を高めるために
カスハラ対策が進む社会の変化は、吃音持ちにとっても歓迎すべき流れだ。
電話対応という業務が、これまでどれだけ理不尽な負荷を従業員にかけてきたか、改めて見直されるきっかけになっている。
この流れの中で、吃音という特性への配慮も、当たり前のものとして議論されるようになってほしい。声を出すことが怖くならない社会を、少しずつ作っていきたい。

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