「聞く力」というテーマのビジネス書が、ベストセラーとして並んでいる。
話す力より、聞く力の方が重要だ。優れたリーダーは、話すことより聞くことに時間を使う。そういう考え方が、ビジネスの世界で広まっている。
吃音持ちとして、このトレンドを見たとき、ふと気づいたことがある。自分は、知らないうちに「聞く力」を磨いてきたのかもしれない、と。
話すことを避けてきたからこそ、聞いてきた
吃音があると、自分から話すことへの不安がある。だから、会話の中で自然と「聞く側」になることが多かった。
相手の話をじっと聞く。相槌を打つ。質問を考える。自分が話す番が来るまで、相手の話に集中する。
これは、消極的な姿勢として見られることもあった。でも、ビジネス書で「聞く力」が重要視されている今、その姿勢が実は強みだったのかもしれないと感じている。
聞く力が信頼関係を生む
ビジネス書で語られる「聞く力」の本質は、相手の話を遮らず、最後までしっかりと受け止める姿勢だ。
吃音があると、自分から会話を遮ることが少ない。相手が話している間、急かすこともない。これは、相手にとって「安心して話せる相手」として感じられることが多い。
実際、吃音があることで、聞き上手だと言われた経験がある。自分が話すことが少ない分、相手にしっかりと向き合う時間が生まれていたのだと思う。
聞くことで得られる情報の質
話すことに集中するより、聞くことに集中することで、得られる情報の質が変わる。
相手の言葉の裏にある感情、本当に伝えたいこと、表面的な言葉では分からないニュアンス。聞くことに時間をかけてきたからこそ、そういった深い理解力が育っていることがある。
ビジネスの現場で評価される「聞く力」は、まさにこの深い理解力のことだ。
話せないことを、コンプレックスから強みに変える
長年、「話せないこと」をコンプレックスとして抱えてきた。でも、「聞く力」が評価される時代になったことで、その見方が変わってきている。
話すことが苦手でも、聞くことに優れている。それは、立派なビジネススキルだ。リーダーシップの一形態として、十分に評価される時代になった。
聞く力を、もっと自信に変えていきたい
吃音があることで自然と育ってきた「聞く力」を、これからはもっと自信を持って活かしていきたい。
話す力で勝負できなくても、聞く力で勝負できる。それは、吃音持ちにとって、新しい自己肯定の形だと思っている。
「聞く力」ブームに乗りながら、自分が長年培ってきた強みを、これからのキャリアでも大切に育てていきたい。

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