「電話対応なし」という求人を見たとき、思わず画面をスクロールする手が止まった。
本当に、そんな時代が来ているのか。吃音持ちとして、この流れを黙って見過ごすわけにはいかない。
電話という地獄
吃音持ちにとって、電話は特別に怖い。
対面なら相手の表情が見える。間があっても、身振りや目線でなんとかなることがある。でも電話は違う。声だけが頼りだ。
しかも、電話は突然かかってくる。準備する時間がない。心の準備ができていない状態で、いきなり話さなければいけない。吃音が出やすいのは、まさにこういう状況だ。
バイトで電話対応をしていた時期がある。着信音が鳴るたびに、心臓が跳ね上がった。受話器を取った瞬間に声が詰まって、相手を困らせてしまったこともある。あの経験は、今でも鮮明に覚えている。
チャット・メール文化の広がり
でも今、確実に変わってきている。
ビジネスの現場でSlackやChatworkが当たり前になった。顧客対応もチャットで完結する企業が増えた。「電話しないでください、チャットで」という会社も出てきた。
これは吃音持ちにとって、革命に近い変化だ。
文章なら、吃音は関係ない。自分のペースで書ける。考えてから送れる。詰まることも、沈黙も、ない。
テキストコミュニケーションが得意な吃音持ち
吃音があると、話すことへの苦手意識がある分、文章で伝えることを意識してきた人が多いと思う。
自分もそうだった。うまく話せない分、書くことで補おうとしてきた。メモを丁寧に書く。メールを慎重に作る。言葉を選ぶ習慣がついた。
電話文化が終わっていくなら、その積み上げが武器になる。
でも、完全には終わらない現実
楽観的になりすぎてもいけない。
まだまだ電話が主流の業界・職場はたくさんある。不動産、医療、行政、製造業。電話を完全に避けることは、現状では難しい。
それに、電話が減ってもビデオ通話が増えている。ZoomやTeamsで顔を見ながら話す機会は、むしろ増えているかもしれない。
完全な「声なし社会」が来るわけじゃない。
それでも、流れは変わっている
電話廃止の流れは、吃音持ちにとって追い風だ。
この流れを最大限に活かすために、文章力を磨くこと。テキストで価値を出せる仕事を選ぶこと。そして、電話が必要な場面でも、吃音があることを正直に伝えて配慮を求める勇気を持つこと。
時代が吃音持ちに少しだけ優しくなってきた。その変化を、ちゃんと喜んでいい。

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