吃音持ちなら、誰でも一度は「誤魔化す方法」を探したことがあると思う。
僕もそうだった。うまく話せない自分を隠すために、いろんな方法を試してきた。今日はその話をする。
試してきた誤魔化し方
まず、言いにくい言葉の順番を入れ替えて話す方法。「私は〇〇が得意です」と言いたいところを「得意なのは、私は〇〇で…」みたいに言い換える。これは確かに効果があった。でも、頭の中で常に言い換えを考えながら話すのは疲れる。
次に、言葉の前に「えー」「あの」「そうですね」をつける方法。最初の一音を出してしまえば、後は比較的スムーズに話せることが多いから。これも効果はあった。でも、「えー」が多いと話し方が幼く見える。
面接では、苦手な言葉を避けて答える準備を何パターンも用意した。「御社」が言いにくければ「こちらの会社」と言い換える。そういう工夫を積み重ねた。
でも、全部「その場しのぎ」だった
これらの方法は確かに役に立った。でも、どれも根本的な解決じゃなかった。
言い換えを考えながら話すと、会話に集中できない。「えー」を多用すると、緊張が伝わりやすくなる。苦手な言葉を避け続けると、言えない言葉が増えていく。
誤魔化しを重ねるほど、「うまく話せない自分」という意識が強くなっていく気がした。
本当に効果があったのは「場数」だった
誤魔化す技術を磨くより、話す場数を踏む方が圧倒的に効果があった。
留学して知らない人に話しかけた。飲食店のバイトで毎日接客した。面接練習を何十回も繰り返した。演技のワークショップで人前に立ち続けた。
その積み重ねの中で、吃音が出ても「まあいいか」と思えるようになっていった。誤魔化さなくていい、という感覚が少しずつ育っていった。
吃音を「なかったこと」にしようとしないで
誤魔化し続けることは、吃音を「なかったこと」にしようとすることだと思う。
でも、吃音は自分の一部だ。それを隠し続けるのは、自分を隠し続けることでもある。
最近は、吃音のことを話すようになった。「僕、吃音なんですよね」と先に言ってしまうと、不思議と楽になる。相手も「そうなんだ」と普通に受け取ってくれることが多い。
誤魔化す技術を磨くことより、自分の吃音と仲良くなることの方が、長い目で見ると大切かもしれない。

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