留学で知らない人に話しかけ続けた僕が、吃音を克服できた理由

「すみません、一緒に写真を撮ってもいいですか?」

留学先で道を歩いている見知らぬ外国人に、僕はそう声をかけた。吃音持ちの日本人大学生が、英語で、知らない人に。今思えばかなり無謀だったと思う。

でも、あの経験が僕の吃音を大きく変えた。

日本では怖かった「声をかける」という行為

日本にいた頃、知らない人に話しかけることが怖かった。吃音が出たらどうしよう。変な顔をされたらどうしよう。笑われたらどうしよう。そういう不安が常にあって、必要最低限のことしか話さない生活を送っていた。

吃音を持つ人間にとって、「話しかける」という行為はそれだけでハードルが高い。うまく話せる保証がないから、最初の一歩が踏み出せない。

留学先では「失敗してもいい」空気があった

留学先で気づいたことがある。言語の壁があるから、最初から「うまく話せなくて当然」という空気があった。

うまく伝わらなくても笑って終わる。聞き返されても恥ずかしくない。そもそも日本語じゃないから、吃音特有の「言葉が詰まる感じ」が目立ちにくかった。

その環境が、僕を解放した。

最初は勇気が必要だった。でも一度やってみると、思ったより怖くなかった。相手は笑ってくれた。会話が続いた。友達になれた。

毎日、知らない人に話しかけ続けた

それからは意識的に、毎日誰かに話しかけるようにした。カフェの店員、図書館で隣に座った人、公園にいた人。誰でもよかった。

最初のうちは緊張した。でも繰り返すうちに、「話しかける」こと自体への恐怖が薄れていった。

吃音が出ることもあった。でも相手は気にしなかった。それが一番の発見だった。自分が思っているほど、吃音は他人にとって大した問題じゃない。

場数が自信になる

留学から帰ってきた時、明らかに話すことへの恐怖が減っていた。吃音の症状も以前より軽くなっていた。

理由はシンプルだと思う。話す場数を踏んだから。失敗しても死ななかった経験が積み重なったから。

吃音の改善に必要なのは、特別な治療法じゃないかもしれない。ただ、話し続けること。失敗し続けること。その積み重ねが、少しずつ自信に変わっていく。

もし吃音で悩んでいるなら、一度だけ勇気を出して知らない人に話しかけてみてほしい。最初の一歩さえ踏み出せれば、世界は思ったより優しい。

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