リモートワークは吃音持ちを救うか、孤立させるか

コロナ禍でリモートワークが一気に広まった。吃音持ちとして、最初は「これは救いだ」と思った。

電話が減る。対面の会議が減る。声を出す場面が少なくなる。吃音持ちには最高の環境じゃないか——そう感じていた。でも、しばらく経って気づいた。そんなに単純じゃない、と。

リモートワークが吃音持ちに優しい理由

まず、良い面から整理する。

リモートワークでは、チャットやメールでのやり取りが増える。吃音が出る場面が物理的に減る。「声で判断される」機会が少なくなる。それは確かに、吃音持ちにとって大きなメリットだ。

オフィスにいると、突然話しかけられることがある。準備できていない状態で声を出さなければいけない。それが吃音を悪化させる原因になることがある。リモートなら、そういう「不意打ち」が減る。

会議もオンラインになると、チャットで発言できる場面が増える。カメラをオフにできる場合もある。自分のペースで参加しやすくなる。

でも、孤立するリスクもある

一方で、リモートワークには孤立という落とし穴がある。

オフィスにいれば、自然と雑談が生まれる。昼休みに同僚と話す。通勤中に会話する。そういう何気ないコミュニケーションが、社会との繋がりを作っていた。

リモートになると、それがなくなる。業務上の連絡だけになる。人間関係が薄くなる。孤独感が増す。

吃音持ちはもともと、コミュニケーションへの苦手意識がある人が多い。リモートで「話さなくていい環境」に慣れてしまうと、さらに話すことへの恐怖が強くなるリスクがある。

逃げ続けると、余計に怖くなる。これは吃音の改善という観点から見ると、リモートワークは必ずしも良い環境じゃない。

オンライン会議という新しい戦場

リモートワークが増えたことで、ZoomやTeamsのビデオ会議が日常になった。

これが吃音持ちにとって、新しい難関になっている。

画面越しに複数人と話す。声だけが頼りになる場面もある。マイクの品質によって、詰まりが余計に目立つことがある。しかも、発言のタイミングが掴みにくい。誰かが話し終わった瞬間に話し始めようとして、詰まる。

対面の会議より難しいと感じる吃音持ちは多いと思う。

リモートと出社のバランスが鍵

結論として、リモートワーク一択ではなく、バランスが大事だと思っている。

チャットやメールで済む業務はリモートでこなす。でも、人と話す機会を完全になくさない。週に何日かは出社して、雑談する。声を使う練習を続ける。

吃音の改善には、場数が必要だ。リモートで声を出す機会を完全に減らしてしまうと、それは一時的に楽になるかもしれないが、長期的には吃音との向き合い方を難しくする。

リモートワークは吃音持ちにとっての救いにもなるし、逃げ場にもなる。どちらになるかは、自分の使い方次第だ。

リモート時代を生き抜くために

リモートワークが当たり前になった時代に、吃音持ちとして意識していることがある。

チャットの文章力を磨くこと。テキストで価値を出せる人間になること。そして、オンライン会議でも積極的に発言する練習をすること。

声を出さなくていい環境に甘えすぎない。でも、声を出せる場面では積極的に出す。そのバランスを意識しながら、リモート時代を生き抜いていきたいと思っている。

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